
中国進出の日系企業に向けて、人事・労務など幅広いコンサルティングを行います。
グローバルな事業展開において、各国の労働法規を正確に理解し、遵守することは、労務リスクを回避し、従業員との良好な関係を築く上で不可欠です。
特に、中国の「年次有給休暇」制度は、日本の労働基準法とは異なる独自の規定が多く、日本と同じ感覚で運用すると、思わぬトラブルや罰則につながる可能性があります。
今回は、中国における年次有給休暇の基本ルールと、日本企業が特に注意すべきポイントを分かりやすく解説いたします。
【ポイント1】付与条件:「勤続1年」の考え方が日本と全く違う!
日本の年次有給休暇は、「自社に雇い入れの日から6ヶ月間継続勤務し、その間の全労働日の8割以上出勤した」場合に付与されます。
しかし、中国では「社会人としての勤続年数が通算で1年以上」あれば、入社初年度から付与義務が発生します。つまり、他社での勤務期間も通算されるという点が最大の違いです。
注意点: 中途採用者が入社した場合、その従業員の過去の職歴を含めた「累計勤続年数」を確認し、年休を付与する必要があります。「当社ではまだ1年経っていないから」という理屈は通用しません。
【ポイント2】付与日数は「累計勤続年数」で決まる
付与日数も、自社での勤続年数ではなく、社会人としての累計勤続年数によって、以下のように定められています。
累計勤続年数 | 付与日数 |
1年以上 10年未満 | 5日 |
10年以上 20年未満 | 10日 |
20年以上 | 15日 |
【ポイント3】未取得時の買取り義務と重い罰則
会社の都合により従業員が年休を取得できなかった場合、日本のような「時効(2年)」で権利が消滅する前に、金銭での清算が厳格に定められています。
・支払額: 未取得日数に対し、1日あたり日給の300%の賃金を支払う義務があります。(内訳:通常の賃金100%+補償金200%)
・罰則: 行政からの是正命令に従わず、上記の支払いを怠った場合、会社は300%の支払いに加え、未払い額の50%にあたる賠償金を追加で支払うよう命じられる可能性があります。さらに、人民法院による強制執行の対象となる場合もあり、非常に厳しい措置が規定されています。
《貴社で今すぐ確認すべきこと》
今回の内容を踏まえ、貴社の中国拠点における労務管理について、以下の点をご確認ください。
・採用時: 従業員の「累計勤続年数」を正確に申告させ、記録するフローは確立されていますか?
・就業規則: 現地の就業規則は、中国の最新法令に基づいて正しく整備されていますか?
・勤怠管理: 年休の取得状況を適切に管理し、未取得者への対応(取得勧奨または年度末の金銭補償)が漏れなく行える体制になっていますか?
中国の労務管理は複雑で、法改正も頻繁に行われます。些細な認識の違いが、大きな経営リスクにつながることも少なくありません。
弊社では、中国の最新労務事情に精通したコンサルタントが、貴社の状況に合わせた就業規則の整備や労務相談をサポートいたします。ご不明な点や具体的なご相談がございましたら、どうぞお気軽に本メール返信にてお問い合わせください。
今後とも、何卒よろしくお願い申し上げます。